amPlug Classic Rock 解析
ジャンク品として手に入れたamPlug Classic Rockを解析しました。KiCadとLTspiceのデータはGitHubにあります。※amPlug2ではなく、旧機種のamPlugです。
▽回路図
公式ページに「UK製100Wアンプのハイゲインサウンド」と記載があるので、マーシャルアンプを意識していると思われます。多段増幅・多段クリッピングになっているのが特徴的です。TONEの後段は、キャビネットシミュレータだと思われます。電源は5Vに昇圧させてあり、供給電圧が2Vを下回ると電源部LEDが消灯するようになっています。
▽シミュレーション
- 増幅部 (GAIN 1%→50%→100%)
C67はGAINを下げた時に高音域を通過させる働きがあり、通常のアンプではBRIGHTスイッチとなっていることが多いです。非反転増幅回路が4段ありますが、そこでの低音域のカットはそれほど大きくありません。ダイオードクリッピングは非対称で、オペアンプでの歪みも加わっています。 - TONE 0%→50%→100%
C80~C82あたりがマーシャルアンプにあるトーンスタックと同等の回路です。MIDは40%、BASSは70%ぐらいに固定で、TREBLEのみ動かす形となっています。後段にあるC83とR89の影響で、高音域が低下し複雑な動きになっています。このような抵抗とコンデンサはMarshall Schematicsというページでは見つかりませんでしたが、MESA Boogie Dual Rectifier等、他のメーカーでは入っているものがありました。 - キャビネットシミュレータ
トランジスタによるジャイレータ(シミュレーテッドインダクタ)を使った増幅と、オペアンプ正帰還型ローパス・フィルタです。アナログのキャビネットシミュレータを設計したい場合参考になる回路だと思います。実物のインパルスレスポンスよりも低音域が大きくなるよう設計してあるようです(参考ページ→DTM 宅録用にアナログキャビネットシミュレータを自作)。
---2024年2月25日追記---
別のジャンク品を入手したので、キャビネットシミュレータ部分の部品を取り外す等の改造を行ってペダル化しました。ヘッドフォンの接続はできません。アンプライクな歪みとして使えそうな感じです。
あまりしっかりしていませんが、ホットボンドでなんとか基板を固定しています。ケースは、エフェクターケース製作用基板を使いました。
TPA3118モノラルパワーアンプモジュール解析
AliExpress等で格安で販売されているパワーアンプモジュール基板を解析してみました。TPA3118というD級パワーアンプICが搭載されています(本物かどうかは不明)。このICはVOX MV50に使われているようです。放熱がうまくできれば50Wのパワーアンプなんてのも自作できるかもしれません。
【参考ページ】
・Texas Instruments TPA3118D2
・Texas Instruments TPA3110D2 評価モジュール
▽回路図
コンデンサはいったん取り外して値を確認しました。結線は全て確認したわけではありませんが、データシート通りと考えて大丈夫でしょう。※R22、C20は電源投入時の発振防止用のようです(2023年1月28日追記)。
ゲイン設定を変える場合は下の表の通りになります。
ゲイン | R28 | R27 | 入力インピーダンス |
20dB | 5.6kΩ | なし | 60kΩ |
26dB | 20kΩ | 100kΩ | 30kΩ |
32dB | 39kΩ | 100kΩ | 15kΩ |
36dB | 47kΩ | 75kΩ | 9kΩ |
だいぶ雑ですがNJM2073ギターアンプのパワーアンプ部分をこのモジュール(ゲイン設定36dB)に置き換えました。公式評価モジュールで積層セラミックコンデンサが使われていますので、コンデンサの交換はあまり意味がなさそうです。一応入力のコンデンサだけ10uFのものを取り付けています。音質変化はよくわかりませんが、歪まずに大きな音量が出せるようなったように思います。
NJM2073ギターアンプ
ミニギターアンプとしてはLM386を使用したスモーキーアンプが有名です。私も自作したものを使っていたのですが、大きい音を出そうとするとどうしても歪んでしまいます。そこで、ある程度大きいクリーン音が出るミニアンプを自作することにしました。一応ミニサイズということで、卓上に置けて9V電池駆動可能なものにします。
まず電力効率がよいD級アンプを考え、PAM8408というICを試しました。しかしギターを繋いでみると、過大入力時にミュートがかかるらしく音が途切れ途切れになりうまくいきませんでした。他にもいろいろとD級アンプICはありますが、新たに購入するのが面倒だったので、昔何かのついでに買っていたNJM2073Sを使うことにしました。
NJM2073は、LM386と同程度のゲイン・出力の回路が2つ入っているパワーアンプICです。TDA2822という互換品もあります。BTL動作だと9V、8Ω負荷で3W以上出力がありそうです。スピーカーは出力に余裕があるものがよいだろうと思い、秋月電子の8Ω10Wのものにしました。
▽回路図
簡単なオーバードライブ回路を前段に入れてスイッチで切り替えるようにしています(※トーンを上げすぎると発振するかもしれません)。プリアンプ部分は単なるフェンダー型トーン回路です。NJM2073の電圧利得が高い(+44dB)ため、ゲインはあまり上げなくても大丈夫だと思います。
パワーアンプは今後変更するかもしれないので別基板にしました。通常、出力には発振防止のための抵抗とコンデンサ(Zobelフィルタというらしい)を入れます。データシートでは抵抗が1Ωですが、歪みやすい気がしたので10Ωにしました。コンデンサはありあわせの100nFですが問題ないようです。NJM2073「S」(SIP9ピンパッケージ)は生産中止品で、「D」(DIP8ピン)とピン番号が違うので間違えやすいです。
▽レイアウト
▽PCB
ケースはタカチMB-3(90×60×125mm)です。スピーカー部分の穴あけ精度はイマイチですが、円状なのでそれほどズレが気になりません。意外と内部スペースがあるので、スピーカーの配置は真ん中でもよかった気がします。
どのくらいの音量かマイク録音して調べてみました。クリーン音のまま出せる音量は、ドレッドノートサイズのアコギをストロークしたときと大体同じくらいでした。歪むくらい音量を上げていくと、ケース自体が振動してジワジワ移動し始めます。大きい音を出すには、やはり頑丈なケースが必要となるようです。まぁそれなりの音量でクリーン音が出すという目的は達成できました。今後テスト用アンプとして使っていく見込みです。
TDA1552Q オーディオアンプ
今回はギターアンプではなくオーディオアンプを作製しました。外付け部品が少ないTDA1552QというICを使っています。回路はデータシートの通りで、特に工夫するところもなく簡単です。
中身は下写真です。
ケースは摂津金属工業のメタルケースUT-3というものです。仕切り板が付属し、放熱穴があるのはよいのですが、取り付け済みのプラスチックの足が取り外せないというのがよろしくありません。色合いもイマイチでした……
当初はUSB充電しながら普通のmp3プレーヤーを使う予定でした。しかし電源をアンプと共用にすると、mp3プレーヤーの液晶からサーという大きなノイズが入り込んでしまいます。電池駆動でもダメだし、3端子レギュレータを使ってもダメなようです。
仕方なくUSBメモリから音楽を再生できるmp3プレーヤーを内臓しました。aitendoの極小MP3モジュール[MP3-SB-06F]という製品です。このmp3プレーヤーからもブツブツというノイズが少し発生していますが、まぁ問題ない程度です。
TDA1552Qはカーステレオ向けのICのようですが、音質は特に問題ないと思います。もう少し安くて手に入りやすければいいですね。
タグ : アンプ
Fender Champ Amp AA764改~木工編~
以前作ったChampですが、真空管がむき出しのままだったので、木でキャビネット的なものを作りました。まぁ切ってボンドとネジで組み立てただけで、取り立てて説明するようなことはありません。塗装は水性ニスだけで済ませました。
適当に安いパイン材を近所のホームセンターで買ったのですが、結構反っていて苦労しました。合板や集成材の方が反りにくくて使いやすいかもしれません。
真空管アンプだとどうしても図体が大きくなってしまいます。